農業生産と季節には深い関係があり、農期を逃さず適切な時期に耕作することが伝統的な農業社会における基本的な概念となっています。「一年の計は春にあり」と言われるように、毎年立春に迎春、祭芒神、鞭春牛（牛を鞭で打つ）など迎春の儀式が執り行われました。迎春の儀式は一年の始まりを象徴し、一年間の順調な気候と五穀豊穣を願います。

迎春の儀式は清代の台湾府城において重要かつ伝統的な慣習でした。日本統治時代と戦後にこのイベントは中断されましたが、1976年から台南市政府により府城大東門で「祭先農」式典が開始されました。迎春の古き習わしを表すものとなっていますが、迎春牛遊街（牛が街を練り歩く）や鞭春牛（牛を鞭で打つ）の儀式は行われていません。

台南の県市合併後、府城と農業が盛んであった旧台南県が台南市に含まることとなりました。立春の際に台湾府城大東門で迎春牛の儀式を行うことができれば、市政府が農業を重視していることをアピールできるだけでなく、先人の歴史と文化の記憶を後世に伝え、古跡の活性化をより具体的に示すことができます。